GALLERY 301
大野 由美子 個展
stones on white
2022.3.18 ~ 3.28
- Statement -大野由美子は過去ロシア、チェコ、ハンガリーなどの旧社会主義国で制作活動を 行い、現在ではアメリカ、アジアなどにも範囲を広め、日本を含め国際的に制作活動 をしている美術作家です。近年ではユートピアをテーマとし、主にロシア、日本、アメ リカの建築に関してリサーチをしており、それらの建築物を組み合わせた架空の建 築物をトレーシングペーパー上に描いたドローイングや磁器のオブジェとして作品 にしています。
大野はそれと同時に石を作品のモチーフにすることが多くありますが、GALLERY 301での今回の個展「stones on white」では磁器や布、トレーシングペーパーなど、 薄く透ける白い素材を用いて石をつくっています。 石を型取りして磁器に置き換え、半球体や円柱と石を組み合わせたり、石から円形 を切り取ってトレーシングペーパーでなぞったり、スキャンした石を拡大写真にしそ れをトレーシングペーパーでうつしたものから更に布にプリントをしたり、石の表面 をさまざまな方法でなぞられたものたちで構成されています。石とは正反対のもろ く儚い素材で作られた石であると同時に石と非なるものたちは大野の建築的な作 品にも共通し、大野の考える理想の世界の持つ脆弱性、虚構性を表しています。 - Review -大野由美子の「石」は、色彩やスケール感が剥ぎ取られ、どこにあったかもわからない、曖昧な存在だ。どこにも存在しない石、あるいは、どこでもない場所に存在する石と言うべきだろうか。ドローイングの石には個としての輪郭がなく、ところどころ穿たれた楕円の穴は石を異次元のものに見せている。磁器作品においては、食べ物を入れるための皿と食べられない石の組み合わせが禅問答を投げかけているようだ。今まで疑ったこともない石の実在がにわかに疑わしくなり、私たちが知覚する世界全体の問題として迫ってくる。
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大野 由美子 Yumiko OonoHP: https://ja.yumikoono.com/
Instagram: @yumikoo.oono 略歴 2001ー2005 京都精華大学芸術学部造形学科洋画分野 学士 2005-2007 ハンガリー美術大学絵画学科(ハンガリー) 2007-2008 プラハ美術大学絵画学科(チェコ)(2007-2008文化庁派遣芸術家在外研修員) 2008-2010 プラハ美術工芸大学大学院インターメディア学科 修士(チェコ) 2011-2012 ベツァレル美術デザイン大学美術学科(イスラエル) 2015-2016 サンクトペテルブルグ国立文化大学準備コース(ロシア) 2016-2018 サンクトペテルブルグシュティグリツ国立美術デザイン大学大学院陶芸学科 優等修士(ロシア) 受 賞・奨 学 金 2005-2007 ハンガリー政府奨学金 2007-2008 新進芸術家海外研修制度 2008-2010 チェコ政府奨学金 2011-2012 イスラエル政府奨学金 2015-2018 ロシア政府奨学金 2018 CAF賞ファイナリスト レジデンシー 2008 At Home Gallery(スロバキア) 2011 Meet Factory(チェコ) 2015 Gyeonggi Creation Center(韓国) 2017 International Studios and Curatorial Program(アメリカ) 2018 MASS MoCA(アメリカ) 2019 John Michael Kohler Arts Center(アメリカ) 2019 Retreat(アメリカ) 2019 St. Petersburg Art Residency(ロシア) 2019 Taipei Artist Village(台湾) 2020-21 Paradise AIR(松戸) 2021 陶芸の森(信楽) 2021 HISAI芸術家の住む町プロジェクト(津) 2022 C.A.P. クレイスタジオ(神戸) コレクション John Michael Kohler Arts Center(アメリカ) Kohler Co.(アメリカ) エラブガ国立歴史建築美術館所蔵(ロシア) |