GALLERY 301
浅野 夕紀 個展
想像するhenge
2015.11.6 ~ 11.16
私は日常で得る記憶や、そこから感化され頭の中に浮かび上がる形を基に、インスタレーション(展示空間を含めて作品とみなす手法)で表現します。素材となるのは、道端で拾った鳥の羽や、花びら、紙くず、ほこり、割れた鏡など、日常で拾集する様々なものの断片です。
これらを部屋の天井から吊ったり、壁にはったり、床に置いたり、何かと組み合わせたり―。 展示空間と対峙しながら、小さなそれらを部屋に点在させ、ひとつの世界を作り上げていきます。また、繊細な線や淡い色彩で描く、ドローイングを組み合わせることもあります。これらの作品は、私の中から引き出される記憶(または想像)の遺物だと考えています。 想像するhenge 本展のタイトルにあるhengeとは、“stonehenge" から引用しました。以前、stonehengeが特集されている雑誌を読み、その神秘的な名と存在に惹かれたからです。stonehengeとは、大昔につくられた石の環状遺跡のことを指します。 いつ、だれが、何のためにつくったのか、現代の人々は痕跡から色々な方法で、その歴史や謎を紐解いていきます。時には学術的なことから離れ、現実を超越し、神話が誕生し幻想的に語り継がれこともあります。そうやって私たちヒトは、欠けてしまったもの、過去のものに想いを馳せます。 「欠けてしまった部分を想像する」という行為は、stonehengeに関わらず、昔も今も誰しもが経験することではないでしょうか。無い部分の空虚や気配、かつてどんな形だったかなど、見る人が自身の経験や知識から引き出し、「形、時間、価値、距離、記憶 、輪郭」を補い、想像します。こういった行為の中で、自分という存在を世界や時代の中の「個」として認識していると思います。 私が部屋に点在させるものの断片やドローイングからも、身近ながら、ささやかながら、そういったことを体感してもらいたいと、今はこのようなことを考えながら作品をつくり、時間の上を歩いています。 |
浅野 夕紀
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