GALLERY 301
下野 友嗣 個展
かんげんする
2016.11.3 ~ 11.13
古代の日本では、神道や仏教が栄える前に「神」という信仰がありました。神は後に様々な形で多様化し祀られるようになりますが、それらの神々の原型の一つが「空から降ってきた隕石」ではないかという説があります。その隕石に主に含まれる鉱物は鉄だったのではないかとも言われており、それらの仮説が正しければ「鉄」そのものが神として祀られていたことになります。
後に人間が製鉄の技術を身につけてからは、鉄は人間の文化に欠かせないものとなり、生活の向上や戦争のために進化してきました。そして私は、そんな鉄から発生した錆を使い作品を制作しています。しかし、錆を今までとは違う形で表現できないかと思い模索している時に、陶芸家が「還元する」という言葉を使っているのを思い出しました。そして錆を発生させる「酸化」とは逆の、「還元」を作品にしたいと考え始めました。 物理的に鉄(地球上の自然界において、鉄は酸化鉄として存在します。)を還元するためには、酸化鉄から酸素が離れ炭素と結びつくことが必要となります。今の私にはこの方法で作品を還元することが出来ないので、身近な人間の動作で還元を表現できないかと考えました。そして、「朽ちかけた鉄を、顔が映るくらいまで磨き上げること」「本来は朽ちて無くなってしまう鉄錆を、別の素材に置き換え保存すること」が還元に近いのではないかと思い至りました。 鉄の歴史を更に遡れば宇宙の大爆発であるビッグバンから始まり、鉄が固まって落ち着いた場所が地球になったと言われています。そして太陽が存在し、地球が生命の誕生に適した位置にあったことから酸素が生まれ、鉄が錆びることの出来る環境となりました。まさに鉄は、人間にとっても他の生命にとっても重要なもので、母なる大地そのものなのです。 その鉄を還元するということは人間の、そして地球の歴史を「かんげんする」ことなのではないかと私は思っています。 |
下野 友嗣 Yuji Shimono1984年 兵庫県生まれ
2007年 大阪芸術大学 美術学科卒業 ■ 個展 2010年7月 galleryAO(兵庫 神戸) 2011年4月 泉地靖雄美術館アーティスツハウス(岡山) 『あいさつをするくま』 2011年4月 Art space gallery MARU(韓国 昌原) 2012年4月 gallery 301due(兵庫 神戸) 『鉄の惑星』 11,『さびから生える』 2012年9月 galleryからひね(京都) 『Incision』 2012年11月 spectrum gallery(大阪) 『風花』 2015年3月 gallery 301(兵庫 神戸)『空が白むまで』 13,『熊人間の里』 14,『黄金の色』 ■ その他 2010年12月 Project Asia Art Program 2010 Residency Program(韓国 昌原) 2011年2月 大阪芸術大学美術学科作家展(京都東急ホテル gallery Kazahana) 2011年8月 CHAIN OF ART(兵庫 神戸 ギャラリー島田) 2011年11月 shoes box ヨッちゃんビエンナーレ2011(大阪 OZCGallery) 2012年4月 SHIGARAKI ACT2012(滋賀 信楽) 2012年10月 ART KAMEYAMA (三重 亀山) 2013年9月 土湯アラフドアートアニュアル2013 (福島 土湯温泉) 2014年3月 飛鳥アートヴィレッジ アーティスト・イン・レジデンス 『宙の土 土の宙』(奈良 飛鳥 万葉文化館) 2014年7月 古湯温泉ONCRI 第3回床の間アートコンペ 優秀賞(一年間 古湯温泉ONCRIで展示 佐賀 古湯温泉) 2014年9月 313×313 Dreaming Art ロイヤルパークホテルザ羽田(東京 羽田) 2014年11月 するがのくに芸術祭 富士の山ビエンナーレ アーティスト・イン・レジデンス 大法寺書院にて展示(静岡 由比) 2014年12月 gallery 301 Exhibition2011(兵庫 神戸 gallery 301) 11,12,13 2015年2月 n-air(北海道 登別) 2015年3月 When The Wind Blows 風が吹くとき(Northern Ireland, UK MillenniumCourtArtsCentre) |