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WAKKUN  個展

​二人の空気


2017.7.1 ~ 7.11


WAKKUN わっくん

■ Profile
https://www.facebook.com/wakkunkobe/
 
■ 略歴
1950年 神戸に生まれる
絵本作家・イラストレーター

 
暑い夏の日だった。その日は暑かったので長田の名物店平壌冷麺に食べに行った。有名店なので並ぶ覚悟で店に行ったが、昼の1時過ぎなのに人は並んでおらず...ラッキーと思い店に入り。ボクは冷麺を注文した。すると、新しく客が二人、入ってきた。18才と16才の年格好で兄キ分と弟分という感じの少々ガラの悪そうな若い男性客だった。二人はボクの後ろの席に坐るなり、兄キは弟分に自慢話をはじめた。

「俺、昔ごっつう悪かってな!」弟分は「ホンマでっか」とまじめに話を聞いていた。兄キは「ワレ!OX幼稚園、知っとおけ!」たずねると弟分は「知ってます」と返すと続けて「あの幼稚のまん中に、ごっつい大きい木があるやろ!知っとおけ!」「 はい、知ってます」と弟分。また続けて「オレ、幼稚園の時にな」と兄キ分が言い出したので後ろで聞いていたボクは幼稚園の時か...と心の中で笑っていた。
しかし、兄キ分は真剣に弟分に話を続けた「オレ、幼稚園のあの木のてっぺんに登ってな。それ知った園長とか、他の先公達が、ちっちゃい子どものオレにな、降りてこい!降りてこい!とぬかしやがってんけどな、オレは降りなんだんや」と結んだ。

話をぬすみ聞きしてたボクは心の中で笑っていたけれど弟分は「ホンマでっか!」と感心しながら返していた。心の中で笑っていたボクは、1、2分後、後ろの席の二人の間に何か温かい空気のようなものを感じた。兄キ分の話を弟分の彼が「しょ―もな!」とか思ってしまっていたら、兄キが投げたボールは後ろに、ころがっていってしまう。しかし、弟分が「しってます !」「ほんまでっか」 とボールを返すことで、二人の間に心のキャッチボールができている。

互いの心が深いところ で “YES"と認め合えているキャッチボールは その話の内容が幼稚とか高尚とか関係なく、大切なことなんや 。 友達同士や家族同士とか、互いに心の奥の方で誌め合ってる「大切な空気なんや!」平壌冷麺の店の片隅でボクはそんな風におもったのだった。

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