GALLERY 301
藤原 志保 個展
浸透 ~Penetration~
2024.4.15 ~ 4.30
- Statement -個展「浸透」に寄せて
今年、私は何と80歳になる。よくぞこの年まで生きたものだ。無我夢中で生き、自分の年齢をあまり意識していなかった。 生後間もない赤ん坊の時、甲子園球場近くの住居を第二次世界大戦の空襲で焼け出され、焼け野原の中、母に抱かれ、防空壕に逃れ命が救われた。郷里丹波篠山市に戻り、小学1年から近所の書道塾に学んだ、26歳の時、神戸で、水墨画家、松本奉山先生に師事し5~6年水墨の基本を学んだ。いろんな歴史ある作品群、書物を観るうちに今までにない表現を試したいと思うようになり、独立し、個展で作品発表を重ねてきた。墨と和紙の間で生じる現象は生涯を賭けても悔いのない興味を抱かせる。NYでの個展も「質が高い」と評され、パリ、オーストラリアなどでも個展を重ね、国内では、サエグサ画廊、鎌倉画廊、信濃橋画廊、ギャラリー301などで発表してきた。又、29年前、阪神淡路大震災では神戸市灘区のアトリエ全壊、住居も壊れ、住む家も無く、勤務先も全壊で働くところも無い、呆然としていた。しかし私にはアートがある。墨と和紙で表現できる可能性にチャレンジしている大切なものがある。日本画家だった祖父(藤原二鶴)が言っていた、自分の表現したい絵を描きたいなら、別に仕事を持てと言い遺した。自分を高めてくれそうな、学ぶことのできる看護師を選んだ。神戸市立中央市民病院に10年余、その後開業されるDr.に請われ、灘区のクリニックに移った。人間の生、死を目の当たりにした仕事を65歳まで、学びの年月。院長家の持ち家の文化住宅を無償でアトリエとして提供いただき、多くの作品が生まれた。震災で全壊するまで使わせていただいた。その後院長亡きあと、一旦三田市に、そして郷里、丹波篠山市に終の棲家(アトリエ)を見つけた。人それぞれにいろんな人生があろうかと思うが、今日の墨と和紙の作品群は、正に私の生き様。 昨年、中国のINKスタディオのデレクターから「紙の使い方と、墨と和紙を使ったインスタレーション規模の作品に惹かれた。完全に現代的で国際的な芸術的実践を発展させた墨のアーチストはほとんどいません、国際的な現代インクアートの、最も初期の最も重要なパイオニアの一人であると強く信じている」と、言葉をいただいた。そして、世界的なコレクター、Cognie夫妻、LACMAのキューレター等の一行がアトリエに来られ、作品が、スイスのFoundation Inkに収集される栄を得た。 墨と和紙での立体、インスタレーション、強くて大きなものを…、しかしアートは大きさや強さではない、人生、生き様から生まれるもの。阿波和紙の繊維の間を墨の大小の粒子が毛管現象で移動し、乾燥と共に固着する。それは自然で媚びがなくとても美しい。さらに精進して極めの境地を目指したい。 藤原志保 - Review -藤原志保 Shiho FUJIWARA墨と和紙、SUIBOKUを現代美術に進化させ、東京国立近代美術館、兵庫県立美術館などにコレクションされている作家である
1944 兵庫県西宮市に生まれる。少女時代水墨画に魅せられ水墨画家に入門。墨と紙の基本的な学習を積む。樹と森をモチーフに制作を続ける。1970 年代奄美群島に又、北海道根釧原野に単独旅行し、大木の根の力、強い造型に、又、地平線に垂れ込める暗雲に衝撃を受け「墨と和紙による抽象表現」を志す。現在、兵庫県篠山市にアトリエを構え、「墨と和紙」による表現の研究を続け、モノクロームの抽象作品、立体、インスタレーションの制作に展開している。 1984 ブルー・メール賞 1988 第8回現代美術今立紙展大賞 1992 半どんの会文化賞 1996 兵庫県芸術奨励賞 2006 亀高文子記念-赤艸社賞 等を受賞。 2011 藤原志保作品集Ⅰ 墨&和紙 出版 (主な個展) 1982 サヱグサ画廊/東京 1986 鎌倉画廊/東京 (’88.’90) 神奈川/(2014) 1987 いの町紙の博物館開館2周年記念展/高知 1995 東京電力 PLUS MINUS GALLERY/東京 2000 大丸神戸アートギャラリー/兵庫 (’02.’07) 2001 ギャラリー島田/神戸(‘11) 2002 「EMERGING VISION FROM SUMI & WASHI」 Hyogo Prefectural Government Cultural Centre パース/オーストラリア 藤原志保展 SALON DU HYOGO /パリ 2004 信濃橋画廊/大阪(‘05.’06.‘07.’08.‘09) 2009 「空」 兵庫県立美術館アトリエ/兵庫 「セーヌ・エ・マルヌの風」 セーヌ・エ・マルヌ県庁ホール/フランス 「ノールの風」 ノール県庁ホール/フランス 「Pocket 美術函に鯨が…」 Pocket 美術函モトコー/神戸 2010 「生」 兵庫県立美術館 アトリエ/兵庫 2011 「淼々」西脇市岡之山美術館 アトリエ/兵庫 「森々」兵庫県立美術館 アトリエ 2012 ギャラリー301/神戸(’13.’14’.15.’16 .’21) 2012 「時の融合」セーラムギャラリー/ニューヨーク 2013 「Prayers for Peace」 ウォルター・ヴィクサーギャラリ-/ニューヨーク 2017 開館35周年記念 特別企画 藤原志保個展 三木市立堀光美術館/兵庫 2018 「平和の風」ふじ・紙のアートミュージアム/静岡 2020 「ORIGAMI」福住画廊/大阪 (主なグループ展) 1981 第2回架空通信テント美術館展 夙川公園/兵庫(’83) 1982 日本国際美術展 東京都美術館/東京 京都市美術館/京都(’84.’86) 1983 サロン・ド・メ パリ/フランス 1984 兵庫の現代美術 兵庫県立近代美術館 1985 アート・ナウ’85 兵庫県立近代美術館 1987 サロン・ド-トンヌ パリ/フランス 1988 第8回現代美術今立紙展大賞 今立/福井 1988 兵庫の美術家 兵庫県立近代美術館(’90.’92) 1989 第2回INO 紙のことば展 いの町紙の博物館/高知 1992 IAPMA 第7回国際紙造形展 ブダペスト/ハンガリー 1993 IPC ’93 Montreal-現代日本の紙造形展 モントリオール/カナダ ウイメンズ’93 近鉄アート館/大阪、ギャラリーEMORI /東京 1993 素材の予感・・・紙展、マスダスタジオ/東京 1994 現代日本の紙造形展 (財)阿波和紙伝統産業会館/徳島 Contemporary Art ’94 Net Work & Message 今立芸術館/福井 1994 素材の領分 東京国立近代美術館 /東京 1995 素材の予感 マスダスタジオ/東京(’97.’98.’99.’01) 1996 紙7人の作家展 不二画廊/大阪 1997 「兵庫アートウイーク・イン東京」新宿パークタワーギャラリー1/東京 1998 記憶の組成 不二画廊/大阪 2000 第7回六甲アイランド現代アート野外展/兵庫 2001 Japan 2001 Brunel University gallery, BANKSIDE gallery/イギリス 2002 Made In Japan「Contemporary art work on and with paper」 Usher Gallery /ロンドン 2003 「Hang」 鎌倉画廊/神奈川 2005 インパクトアートフェスティバル 京都市美術館(’07), 「紙は今2005」京都工芸繊維大学美術工芸資料館 2007 「架空通信・百花繚乱展」 兵庫県立美術館ギャラリー(’08.’09.’10) 2009 「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」/兵庫(‘10.‘12) 2015 「折り紙の宇宙 ― かたちのアバンギャルド」 西脇市岡之山美術館/兵庫 神戸ビエンナーレ2015「兵庫・神戸の仲間たち展」BBプラザ美術館/兵庫 2017 聲東擊西:東亞水墨藝術的當代再造 MOCA Yinchuan Museum of Contemporary Art 招待/中国 「Dark Style」 鎌倉画廊/神奈川 2018 「Japanese Contemporary Ink Art」ホワイトストーンギャラリー銀座新館/東京 2019 「日本當代水墨展」WHITESTONE Gallery Taipei/台湾 2020 「パッション20」東京国立近代美術館工芸館/東京 「Winter2020」鎌倉画廊/神奈川 2021 「亀高文子記念赤艸社賞歴代受賞者作品展」/兵庫 「Summer 2021」鎌倉画廊/神奈川 「第3回上海国際ペーパーアートビエンナーレ」招待/中国 ( パブリックコレクション ) 東京国立近代美術館/東京 兵庫県立美術館/兵庫 紙の博物館/東京 いの町紙の博物館/高知 三木市立堀光美術館/兵庫 ふじ・紙のアートミュージアム/静岡 越前市/福井 三田市/兵庫 兵庫県立丹波文化会館/兵庫 兵庫県立柏原病院/兵庫 神戸市立相楽園会館/兵庫 兵庫県芸術文化協会/兵庫 SALON DU HYOGO/パリ 兵庫県国際交流協会/兵庫 セーヌ・エ・マルヌ県/フランス ノール県ヨーロッパ・コミュイテイセンター/フランス |