GALLERY 301
浦崎 良太 個展
深淵の底を知る
2024.2.16 ~ 2.26
- Statement -深淵の底を知るとき
深く沈みこんだ暗黒の世界に踏み入る。 光は遠く、希望は薄い。 しかし、そこに渦巻く得体の知れない流れを 微かな光が照らしていることに気付く。 その神秘性に触れる時、未知なる世界への扉が開かれ 新たな自分を見つける。 - Review -本展タイトルにある「深淵」と聞けば、ニーチェの名言を思い出し、覗き込む動作を想起する人が多いだろう。ところが覗き込むのでは飽き足らず、足を踏み入れようというのが本展のコンセプトである。恐ろしげな場所に敢えて飛び込む姿勢は、荒波に挑んだ昨年の個展「浜風、とても冷たくて」から変わらない。本展には浦崎が早朝の渓谷に通い詰めて撮影した作品が並ぶ。スローシャッターで捉えた水流は青白い亡霊のように写り、そのほかの部分はどこまで深いか分からぬ闇に沈んでいる。スローシャッターを用いなかった2点は水面の揺らぎを写しており、全体にピントが合っているのでオールオーバーな抽象画のような仕上がりだ。その平面的画面を覗き込んでも水の深さを推し量ることはできない。深淵の底を知っているのは、実際に足を踏み入れた浦崎だけである。
美術ライター 大瀬友美 浦崎 良太 Ryota URASAKIryotaxfilm.com
1971 兵庫県三木市生まれ 1994 独学で写真を撮り始める 2008 写真展「生きている石仏」開催(みっきぃホール/三木) 2011 兵庫県写真作家協会公募展・奨励賞 2013 二科会写真部展 組写真部門・入選 2023 個展「浜風、とても冷たくて」開催(GALLERY301/神戸) ZINE「浜風、とても冷たくて」発行 出展「深淵の底を知る」Unknown Asia2023(グランフロント大阪/大阪) 2024 個展「深淵の底を知る」開催(GALLERY301/神戸) |