GALLERY 301
庄 治政 個展
迷道 - meido -
2023.6.16 ~ 6.26
- Statement -カメラを持って街へ撮影に出かけた最初は20歳の時でした。人々が旅に出かける様子を写したく大阪駅辺りへよく行ったものです。当時は在来線が主で、盆のシーズンなどはコンコースで床に座り込んで列車を待つ群れを多く見ました。人にとって「旅」は何なのかと思いをめぐらしながらシャッターを切りました。その情景の中からは思うように伝えるほどのことはなかったのですが、なぜかやめられない。そのうち出あったのがキャパの戦争写真でした。
『日本カメラ』という雑誌で特集写真をみてのめり込みはじめました。すでに十数年の歳月が過ぎていました。だが写真の迷いは続いたのです。仲間に勧められて「月例」への応募などしましたがシックリいきません。個展を開きたいという思いが徐々に強くなってきました。 前置きが長くなりましたが、半世紀も過ぎて、今なお街にこだわるのは時代の変化と老いていく変化の距離の問題を強く感じ始めたのは、この10年ほどの間です。7年前に「視線交差」という作品をオリンパスギャラリーで開催したころはほぼ現役の強さがありました。それから後は日々何かが変化していくのを実感し始めました。写真は撮るのは好きだけどプリントするのは嫌いということがはっきりしてきました。それでは上達するわけはない。迷いは続きます。 写真は写真。どんなに美しいまといものをしても着飾っても美術館で飾るようなものではない。街のギャラリーで大衆的に楽しむものであると思います。その分写真は自由だと言えるでしょう。長く迷い続けるのもいいものです。どうぞ皆さまで存分に好き勝手に御覧いただければ作者としては嬉しい限りです。 最後になりましたが作者は現在闘病中です。ついては在廊が叶いません。皆様にお会い出来ないのが残念です。またいずれ復活いたしたく思います。しばらくの間お別れです。 2023年6月 庄 治政 - Review -本展は「迷道」と題されている。庄治政が迷い込んだのは、猥雑な雰囲気に満ちた新世界や十三などのディープなエリアで、古く怪しげな店や景観などお構いなしにあくどい看板を掲げる大衆居酒屋が立ち並ぶ。再開発によって街並みが洗練されていく梅田とは対照的で、まるで時代から取り残されてしまったようだ。世代によっては懐かしい風景であり、あるいはレトロ感がかえって新しさを感じさせるだろう。地図アプリのおかげで道に迷うことは滅多になくなった今日だが、あえて未知の場所に足を踏み入れてみたくなる。本展は「迷子のすゝめ」だ。庄がまちを彷徨いながら見つけたのはノスタルジーや物珍しさだけではない。庄のカメラはそこで働き生活を営む人びとの気配を捉え、世の中の本流から外れながらもあり続けるまちの息づかいを伝えている。
美術ライター 大瀬友美 庄 治政 Harumasa SHO【作品展】
2023年 迷道(meido)(Gallery301・神戸)現在 2022年 LOCAL time(Gallery301・神戸) 2021年 風化 (Gallery301・神戸) 2020年 地図のない街 (Gallery 301・神戸) 2019年 冬の旅/庄 治政 (曽我金造写真作品二人展)(Gallery301) 2018年 痕跡/記憶(Gallery 301・神戸) 2017年 都市番地ゼロ(Gallery 301・神戸) 2016年 視線交差 (オリンパスギャラリー大阪) 2016年 Local view(ゴールデン・ミル) 2015年 Local view(ギャラリーMiyake・神戸) 2014年 海岸表通り (オリンパスギャラリー大阪) 2012年 DEN-EN痕跡考 (オリンパスギャラリー大阪) 2011年 境界線 (ギャラリーMiyake・神戸) 2011年 街景考 (ニコンサロンbis大阪) 2010年 播磨灘 (神戸珈琲館・明石) 2009年 播磨灘 (ギャラリーi・京都) 【その他グループ展】 フォトストリート(姫路) おやじの会(大阪ソラリス) ローライ2眼展(大阪壹燈舎) グルッポルーチェ(京都同時代G) PPAS展(京都・東京・福岡・札幌・大阪) 京都写真倶楽部展ゲスト(京都マロニエ) 他多数 兵庫県生まれ 京都芸術大学(旧京都造形大学)写真コース卒業 |