GALLERY 301
山下和也 個展
星 尘 詩 ほしくずのうた
2024.9.20 ~ 9.30
- Statement -人は宇宙(そら) をどのような思いで眺めてきたのだろうか?
宇宙物理学など自然科学の1分野である天文学と考古学との境界領域にある古天文学。前者は自然界の多様な現象を解明する研究、後者は人間の思想哲学を行為や記録(遺物)から読み解く研究である。人間の知的好奇心や探求心によって、生まれてきた宇宙観や天文学は、民族や国家、時代の境界を 越えて影響を与え、発展してきた。 たとえば、古代ギリシャの数学者ピタゴラス(紀元前582-紀元前496)は天体の運行が常に音を発しており、宇宙全体が大きなハーモニーを奏でてい ると考えていた。「 天球の音楽」として知られるその思想は、哲学者プラトン(紀元前427-紀元前347)をはじめ二千年後のドイツの天文学者ケプラー(1571-1630)にも影響を与えている。 自然(宇宙)と人間と芸術。広大な宇宙においては星の屑にも満たない様な人類の歴史やもっと些細な営 み。それらを引き合わせて少しずつ手や頭を動かして継ぎ、展覧会を編む。 事物を通じて個々に現れる目には見えないもの、耳には聞こえない音楽を仮にここで詩(うた)と呼び、そのポリフォニーを傾聴しながら私も宇宙(そら)を眺めてみようと思う。 会期はちょうど仲秋の名月を経て新たな月へと向かう頃。是非会場へ観測にお越しください。 山下は、京都嵯峨芸術大学芸術学部美術学科日本画コース専攻科古画研究工房を卒業後、研究生を経て、文化財修復に携わりながら現在に至るまで精力的に作品の制作・発表を行っています。2017年より神戸に移住後、C.A.P.メンバーとして活動し、海外のコレクティブとのSee Saw Seedsプロジェクトや六甲ミーツ・アートへの参加、芸術鑑賞講座のCAP STUDY、ARTS STUDYの企画 メンバー、自主企画による異分野共同プロジェクト「破墨プロジェクト」、東北や関東の日本画家を中心としたメンバーによる近代、美術を再考する「パラレルモダンワークショップ」と様々なプロジェクトを並行して精力的に活動を展開しています。
山下の作品は、 素材や技法、状況や歴史の考察から展開する制作の方法論と、様々な事象を時空を超えて横断してつなぐ視点からつくられます。そこに東洋の古典絵画の模写や文化財修復の現場で得た専門的な技術や知見、手遊びや工作的な手法まで手業とし て自在に織り交ぜ、書画(書くこと/描くこと)と他分野の領域を独自に編みなおして創造を試みます。 また、展覧会を個々の作品のみならず、他の作品との相互関係やテキスト、鑑賞体験によって紡がれる総合的な経験として捉え、 多元的に編み込んだひとつのポリフォニックな作品として提示します。 昨年のGallery301での個展では1枚の譜面から作品を展開しましたが、本展では藤原定家(1162-1241)の日記である「明月記」を手掛かりに、古天文学への関心から制作した新作を発表します。 山下 和也 Kazuya YAMASHITA1978年 大阪生まれ、神戸市塩屋在住
2002年 京都嵯峨芸術大学専攻科二次元表現コース古画研究工房修了 2003年 京都嵯峨芸術大学附属芸術文化研究所 研究生 2003~2016年まで国宝修理装潢師連盟、(株)坂田墨珠堂にて文化財修復に従事 2017年~2022年 国宝修理装潢師連盟外部技術登録者(専門:東洋絵画) 2017年~SunSui.設立 神戸に移住、KOBE STUDIO Y3(オープンスタジオ)に2024年まで参加。 2019年~2022年 京都芸術大学美術工芸学科基礎美術コース非常勤講師 現在、民族藝術学会会員、C.A.P.(芸術と計画会議)メンバー 近年の主な展覧会歴 2024年 個展「翅 」(自在空間Art step/神戸) 個展「破墨プロジェクト[ROUND]」(ZENT ART MUSEUM/愛知) プロジェクト「パスカルの蝶たち」(両足院/京都)*2023年 (鶴見印刷所/大阪)共に木村奈央氏の企画 2023年 個展「うつしあう世界」(Gallery301 /兵庫) 芸術祭「六甲ミーツ・アート芸術散歩2023beyond」(六甲山福祉センター/兵庫) *C.A.P.メンバーとして参加 プロジェクト「これは富士山である登拝篇・遥拝篇」(富士山ほか)*パラレルモダンワークショップによる活動 グループ展「30-40」(KOBE STUDIO Y3 /兵庫)*浅山美由紀賞 2022年 個展「すべてはつながりの中で変化している」(Gallery301 /兵庫)*トークイベント:尺戸智佳子(黒部市美術館) グループ展「都美セレクショングループ展2022『たえて日本画のなかりせば‐東京都美術館篇』」(東京都美術館/東京) イベント「Act Kobe披露宴」(海外移住と文化の交流センター/兵庫)*破墨プロジェクトとして参加 2021年 個展「あいまに海を眺めている」(KOBE STUDIO Y3 /兵庫)*展覧会記録トーク配信:作花麻帆(西宮市大谷記念美術館) 芸術祭「六甲ミーツ・アート芸術散歩2021」(六甲スカイヴィラ迎賓館/兵庫) *C.A.P.メンバーとして参加 グループ展「See Saw Seeds展~Galerie Herold+Videokaffe+C.A.P.による展覧会」(KOBE STUDIO Y3 /兵庫) 個展「破墨プロジェクト[プレ・プレイ]」(KOBE STUDIO Y3/兵庫)*破墨プロジェクト プロジェクト「たえて日本画のなかりせば-上野恩賜公園編」(上野恩賜公園/東京) プロジェクト「ENDLESS HORIZON」(ブレーメン芸術大学/ドイツ) 2020年 芸術祭「六甲ミーツ・アート芸術散歩2020」(六甲スカイヴィラ迎賓館/兵庫)*C.A.P.メンバーとして参加 プロジェクト「meets @ post」(Gallery PARC/京都) グループ展「バインド!」(KOBE STUDIO Y3 /兵庫)*「絵画のひみつ/三つのアリア」を企画・展示 個展「破墨プロジェクト[ONE DAY]」(KOBE STUDIO Y3別館/兵庫)*破墨プロジェクト 2019年 個展「私たち behind our perspective」(Gallery PARC /京都)*トークイベント:はがみちこ(アート・メディエーター) 個展「うつろう光、しずかな影」(LightsGallery/愛知)*第一期、第二期で作品すべて入れ替え 公開プレゼンテーション「ART LEAP 2019作家最終選考会 展覧会プラン公開プレゼンテーション」 (神戸アートビレッジセンター/兵庫)審査員=片岡真実(森美術館館長)*破墨プロジェクト アーテイスト・イン・レジデンス 2021年 C.A.P.クレイスタジオ アーテイスト・イン・レジデンス(KOBE STUDIO Y3 別館/兵庫) 2018年 See Saw Seas Effect “Moi Moi Konnichiwa”(ARTE ry/トゥルク,フィンランド) 受賞・助成 2020年 文化芸術活動の継続支援事業B(文化庁)*第2次、第3次採択 頑張るアーティストチャレンジ事業(神戸市文化振興財団) 2019年 神戸文化支援基金助成(神戸文化支援基金) *同2024年 2018年 UNKNOWN ASIA 2018 Reviewer Prize / 鈴木結加里賞、松尾惠賞 、日本水墨画大賞展2018 サントリー賞 出版 ・執筆 2024年 評論 「近過去と近未来の想像の海を遊泳する」『民族藝術学会誌art s/』vol .40 2023年 論文(報告)「破墨プロジェクトの活動2018-2020」『民族藝術学会誌arts/』vol.39 2020年 出版 「破墨プロジェクト」(発行人:山下和也、編集:櫻井拓、デザイン・印刷設計:芝野健太) |